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今治の空の下で 3 また一緒に、笑顔で。

関東では、前日までしとしと雨が降っていたのに。

今治に着いた日は、今治も、そして関東も、真夏のような晴天でした。

喜んでくれた、のかな。
それにしても、じりじり、日差しが照り付けて、暑かったデスヨ。編集長。

今治の空の下で 3 また一緒に、笑顔で。_c0017505_2120821.jpg
尾道の駅前から、本四バスに乗りました。
尾道大橋を通り、因島大橋へ。


今治の空の下で 3 また一緒に、笑顔で。_c0017505_20134281.jpg
因島大橋のバス停で、福山から来た今治行きのバス「しまなみライナー」に乗り換えました。
ここで、東京から始発の新幹線でやってきた友人たちと合流。
一人は、生後2ヶ月になる赤ちゃん連れでした。


バスのなかで、編集長の思い出話をしていると、少し気持ちも落ち着いてきました。

昼前に、今治に着きました。
ここで、編集長ならきっと
「よく来たな!うまいもん食わせてやる!」
と、瀬戸内の美味しい魚を一緒に食べたはず。

集まった仲間内でそう話し、今治桟橋からタクシーに乗り、大浜町にある
「大浜」さんへ行きました。
たぶん編集長なら、「伊予水軍」さんかこちらに連れてきてくれるはず、と。

ぷりぷりと口のなかではじけるような、美味しい瀬戸の海の幸を頂きました。
今治の空の下で 3 また一緒に、笑顔で。_c0017505_20191611.jpg

・・・たぶん、一人で今治に行ったら、こんな美味しいご飯を食べられなかったよ。
Oさん、K、ありがとう。

再びタクシーに乗り、途中のお店で花束を作ってもらい、編集長のご自宅へ伺いました。

葬儀が終わった直後だったので、ご家族も疲労がピークに達しておられたのに、
私たちのお願いを受け入れてくださり、弔問させていただくことができました。

記者を辞めようか迷って、このご自宅の門をくぐってから、8年。
ご自宅は、ちっとも変わっていませんでした。
白馬が迎える玄関も、少し薄暗い書斎も。
変わっていたのは、そこに、ガハハと大声で笑う編集長がいないことだけ。

編集長はたくさんのお花に囲まれ、ピースのタバコ、アサヒスーパードライを携えて
静かに笑っていました。
なんで編集長の声が聞こえないのかが不思議でたまりませんでした。

お焼香をさせていただきました。
お線香がぐにゃり、と曲がりました。
お線香が曲がるのは、故人が喜んでいるからだと父から教わりました。
編集長、喜んでくれたのですか。

編集長。





ご家族が、思い出深い写真を見せてくださいました。
デジカメに撮らせていただきました。
編集長の笑顔を、少しでも、残しておきたかったから。

編集長は、亡くなる当日、湧き水の調査に訪れていたそうです。
「定年退職後は、無職だ。ただのジジイだ」って話していたのに。
貴方は地元の大学の先生方、水産や農林の関係者の方々と、勉強会をしたり、調査をしたり、レポートを書いたり。
私を山に連れて行ってくれた、あの日と何にも変わらず、少年のように目をキラキラさせて、バリバリと活動していたのですね。
今治の空の下で 3 また一緒に、笑顔で。_c0017505_20444720.jpg
イギリス取材のときかぶっていた、懐かしい、懐かしいこの帽子をかぶって。
(私の記憶違いでなければ、グラスゴーでこの帽子を買ったはず。)

本当に、最後まで。

そういうところだけは、変わらないんだから。


高校のときも、早朝、7時ごろからお構いなしに電話を掛けてきて。
「おはよう。僕はもう、朝の散歩を終えました。朝は早いんです。
君は今日の夕方、社に来られますか。
そうですか。では待っています(ガチャン!!)」

授業が終わって慌てて東海道線に飛び乗り、社に飛び込むと、
しかめっつらに低い声で「そこに座りなさい。これ読んで」

・・・これを怖いといわずして、なにを怖がれと?

横暴な電話、子供のようなワクワクした好奇心から生まれる容赦ない質問、
厳しい指導。


・・・なのに、どうしてこんなに涙がでるのよ?





お焼香をさせていただき、懐かしいYJPのスクラップを見ながら
ご家族とお話しをさせていただいたあと、ご自宅を失礼しました。

本当は、すぐにバスに乗って福山に戻ろうとしていたのですが、
タッチのところで、バスに乗れなくて。

乳児を抱えて来ていたOさんには申し訳なかったのですが、バスを逃したとき
「あ。編集長だ。
”せっかく来たんだから、もうちょっとゆっくりしていけ。今治の空と海を見ていけ”
って言っているんだ」
と思いました。
今治の空の下で 3 また一緒に、笑顔で。_c0017505_20585912.jpg
そのまま、次のバスが来るまでの小一時間。
今治桟橋で、ぼーっと、海と、しまなみ街道を見ていました。

空の青さを溶かした海と、白く映える大きな来橋大橋。
しなやかで、女性のようなたおやかさを感じさせる姿でした。

おととし、高松に瀬戸大橋を渡っていったときに、
瀬戸大橋はごつい橋だなぁと思ったことを思い出しました。
瀬戸大橋に比べて、しまなみ街道を形作る橋は、とても、柔らかな姿。

編集長と、Mちゃん、Aが熱意を込めて取材していた、
村上水軍に伝わる「鶴姫物語」の記事を思い出しました。
あのときはまだ確か、しまなみ街道は建設中だったか。
鶴姫の姿を思い浮かばせるような橋だなと思いました。

海と空をつなぐ橋。



海が大好きで、船に乗ることも大好きだった編集長。

きっと三途の川の渡し守に、行くなり早々に
「きみは、いつからこの仕事をしているのかね??」
「なぜこの仕事についたのかね?印象深かった乗客はどんな客だ??」
などと、矢継ぎ早に質問を浴びせかけたに違いありません。

渡し守さん、ウザがって、乗船拒否したかもしれない。
それでも船が大好きな編集長は、渡し守さんの言うことも聞かず
船に飛び乗ってしまって、
それはそれは気持ちよく、あちらに渡って行っただろうな。

編集長。
そちらの世界はどうですか。
美味しいアサヒビールを、腹いっぱい飲んでいますか。
奥様と楽しくカラオケしていますか。



おととい、貴方は夢枕に立ってくれましたね。
私が編集長の写っている写真を渡したら、なぜかしかめっつらな顔をして、
はさみで写真を切り始めてしまった。
驚いたところで、目が覚めました。

いつまでも、後ろばかり、見ているから?
叱りに来てくれたの?

お前はもっとしっかりしろ、
とうちゃんにいつまでも甘えてばっかりじゃだめだ。
べそべそ泣くな。

8年前に言われたのに、私は今も全然変わっていないですね。



貴方から渡してもらったバトン、
今はただ、落とさないように必死で持っているだけで、精一杯です。

貴方のように、命尽きる本当にその日まで、
想いを燃やしつくせるでしょうか。

私なりに貴方のバトンを持って走り始めるまで、まだ時間はかかりそうです。

いま私に出来ることは、ただ、貴方から教えてもらったかけらを持って、
1日1日を、精一杯生きていくことだけ。

いつかまた貴方に会えたその日は、たくさん、叱ってください。
たくさん、空の上で取材したこと、教えてください。
また一緒に、取材させてください。

編集長。
また今治の空の下で、笑顔で、会いましょう。
by hamu_totoro | 2009-06-18 21:40 | 忘れずにいたいこと


パンやお菓子作り、畑仕事、陶芸、うたの楽しみを綴っています。作業療法士。たまにお仕事(精神障がいの方の支援)の話も。 ※日記に関係のないコメントやトラックバックは 削除させていただきます。


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