京都:宮津「飯尾醸造」さんのお酢蔵見学

この夏休み、帰省に併せて、天橋立と宮津に立ち寄ってきました。

我が家は、「富士酢」と「京都のお酢屋のお酢レシピ(2007年初版)」を
結婚以来、ずーっと愛用しています。

京都のお酢屋のお酢レシピ (アスキームック)

飯尾 さとみ / アスキー


このレシピ本を見て作ったきゅうりのゴトゴト等、このブログでも何度かご紹介してきましたが、
宮津には、その「富士酢」を作られている飯尾醸造さんの蔵があるのです!
またとないチャンスに、ドキドキ&ワクワクしながら見学に伺いました。

京都から特急電車「はしだて号」に乗って2時間、宮津駅に到着。
宮津駅からタクシーで10分ほど走ると、山を抜け、栗田湾が目の前に広がります。
湾に沿って立ち並ぶ家々の一角に、飯尾醸造さんの蔵がありました。
c0017505_11404157.jpg

駐車場から、蔵の入り口に向かって細い道を歩いているところ。
お酢を入れていたのでしょうか、飴色の甕に風情を感じます。
c0017505_11432365.jpg

「静謐」という言葉を思わず思い浮かべた、蔵の入り口。
c0017505_11553995.jpg

幸運なことに、会長(飯尾醸造4代目、毅様)に蔵のご案内をして頂きました。
お話しくださる言葉の一つ一つに、重みを感じます。
まずは大きな発酵タンクが所狭しと並ぶ、発酵蔵へ。
写真パネルを見せてもらいながら、説明して頂きました。
c0017505_11594364.jpg

今年創業120年を迎えた飯尾醸造さんのお酢作りは、3つの要素から成り立ちます。
すなわち、<無農薬>の<原料>をたっぷりと使い、
じっくりと<時間>をかけて丁寧に作られていることです。

◆契約農家さんを大切にする

農薬が一般的に使われ始めた戦後、これではいけないと感じた先代が、
昭和39年から契約農家さんに無農薬米を作ってもらうようになって、
今年で50年。
再生紙マルチを使った無農薬のお米作りは、紙代も農機具代も、
いもち病対策のお酢等も全て自社で負担されているそうです。
豊作のときもどんな時も、契約農家さんからすべて買い取り、
自社で精米をしているとのこと。
契約農家さんを大切にされている真摯な姿勢に、改めて感銘を受けました。

◆時間をじっくりとかける

大切に育てられた無農薬米に麹菌をまぶし、麹を作ってから
酒のもと(酒母)を作ります。酒母をつかってもろみ(純米酒)を醸し、
もろみと水、種となるお酢をタンクに入れて、酢酸菌の膜を浮かべると
ようやくお酢の仕込みが始まります。
もろみを作ってお酢を作る手法をとっているのは、日本全国の中でも
数えるほどしかありません。それほど、手間と時間がかかるということです。

飯尾さんの発酵方法は「静置発酵(表面発酵法)」。
c0017505_12291741.jpg

酢酸菌の膜が空気に触れる面積によって効率が変わってくるそうですが、
表面温度(40度くらい)と底面温度(室温くらい)の差でタンク内の対流が起こり、
夏は4~5か月、冬は2~3か月かけて、純米酒のアルコール分が
ゆっくりとお酢に変わってゆくそうです。
c0017505_12405213.jpg

酸素に触れるほどお酢が熟成していくので、発酵後も5回ほど移し替え、
約8か月かけて熟成させるとのこと。
飯尾さんのお酢の、ふくよかで豊かな風味は、この時間が作っていたんだと
改めて感じました。

むしろと蓋を開けた発酵タンクを、梯子を上がって見せてもらいました。
表面をびっしりと覆う、酢酸菌の白い膜がはっきりと見えました!
c0017505_1249281.jpg

顔を近づけると、湯気のようなふわっとした熱気が顔を包みました。
酸味の効いた香りにむせそうになり、苦笑い。
でも、この香りをかげて感激!
c0017505_12531639.jpg


◆無農薬のお米をたっぷりと使う

一般的なお酢1リットルを作るのに使われる米量は40g、
純米酢でも120gほどですが、飯尾さんの富士酢は200g、
プレミアム富士酢に至っては320gのお米を使って作られています。
良いお米を惜しまず使っているのが、一目で分かる展示。
c0017505_1247175.jpg

ちなみに、醸造アルコールを使って作られているお酢は、
左端のようなエタノールを添加して作っているのだそう。
そりゃないわ・・・。

続いて、紅芋酢など、野菜や果物を絞ってお酒を造る「しぼりぶね」
を見せて頂きました。
c0017505_1321055.jpg

飯尾さんでは、現在でもこのふねに沈めた布袋入りの紅芋酒を
最後は人力で圧力をかけて絞っているそうです。
機械でとことんまで絞ってしまうと雑味が出てしまうので、
人力の手加減がちょうどいいのだそう。
分かりづらいですが、右下の写真が絞っている様子。
「せいのっ!!」と声を合わせる、蔵人さんたちの声が聞こえてきそうです。
c0017505_1345511.jpg

あの紅芋酢の華やかな紅色は、ここから生まれるんだなぁ・・・。
ちなみに絞った残りは畑の肥料になるそうですが、宝の山だと思います!

じっくり見学させて戴いたあとは、お楽しみ、お酢の試飲♪
c0017505_13101584.jpg

お酢の販売コーナーには、関東ではなかなか見かけることができない
紅芋酢の大びんや、レアな果物酢(後述)もあったりして、
愛好者にはたまらない空間でした(笑)
c0017505_13121092.jpg

我が家のお土産には
*無農薬栽培50周年を記念して、蔵人さんたちがラベルを1枚1枚
手書きしてくださった記念ラベルの「富士酢」
*青森の木村秋則さんの、あの「奇跡のリンゴ」を100%使った
「にごり林檎酢」
*国産の青梅を、「富士 玄米黒酢」と氷砂糖で漬けこんだ「梅くろす」
*関東ではめったに手に入らない「紅芋酢」の500ml
*富士酢オリジナル手ぬぐい
を選びました♪♪
c0017505_1911388.jpg

最後に、会長が書いてくださった
「酢は寿」
ということばが、温かく心に沁みました。
c0017505_19173352.jpg

今回、宮津を訪れることができたのも、峰山の縄屋さんや、
さまざまな方々にご縁を戴いたからこそ。
ご縁をつなげて戴いたことに、深く感謝しています。

記念ラベルには、5代目社長:彰浩様の手書きメッセージが。
c0017505_19203499.jpg

「味や造りとともに棚田を守るのも 私たちの仕事です」

私たちも、友部で無農薬米を作るお手伝いをしていますが、
機械の入らない田んぼで草取りをし、稲の面倒を見るのは、
本当に骨の折れる作業だと痛感することもしばしばです。
棚田を守り、次の世代に伝えていくことの大変さも、私たち以上に
大変なことだと思います。
飯尾醸造さんのその信念を、私たちもできるだけ応援してゆきます!
これからも、変わらぬ美味しさを届けてください。

会長、飯尾醸造の皆々様、暑い中本当にありがとうございました!
[PR]
by hamu_totoro | 2013-09-02 19:16 | 忘れずにいたいこと | Comments(2)
Commented by kazbizen at 2013-09-08 19:28
いいな~京都に行かれたんですね♪
来年辺り時間が取れたら行きたいな~自分は京都に行くときは必ず『河井寛治郎記念館』には立ち寄るようにしています。
↑酢造見学楽しそう♪酢にもいろんな種類があるんですね!
Commented by はむ at 2013-09-11 22:18 x
◆kazさん

こんにちは!お葉書ありがとうございましたー。
今年も脱穀の日程と同じなので、作業のあとにお邪魔できたら、と密かに思っています。(いつも大荷物でスミマセン。。。)

京都府とひとくちに言っても、本当に広いなぁと思いました。
ぜひ宮津にも、時間をとっていらしてみてください!
いろいろなお酢が有って、お料理も楽しくなりますよ~。

また河井寛治郎さんのこと、知らなかったので調べてみました。なるほどー。次回、私も記念館にお邪魔してみようと思います!
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。


パンやお菓子作り、畑仕事、陶芸、うたの楽しみを綴っています。作業療法士。たまにお仕事(精神障がいの方の支援)の話も。 ※日記に関係のないコメントやトラックバックは 削除させていただきます。


by hamu_totoro

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

タグ

ブログパーツ

link

お気に入りブログ

日々是日記 - リターンズ -
montblanc / ...
ご飯と器
ほっとひと息
おとなは、だれも、はじめ...
Cafe Eight キ...
Cafe8センム日記
花屋&Cafeの話
土あそび
作陶日記 - つぐみ製陶...
happy days -...
ばーさんがじーさんに作る食卓
*花伝書*
ぱくぱくスタジオのパンダ日記
Kie*ものもの画帖
銀座 月光荘画材店
田中農園・ぺトラン 
The Lark Asc...
うつわやの、箸の上げ下げ
カオリラックスのリラック...
uto-uto to t...
代官山だより♪
お花いろいろ・レザンジュ...
ぴるりの気ままに日記
PURE CAFE
家事も仕事もぼちぼちと
Baking Diary
tsubomi.
K's Sweet Ki...
楽子の小さなことが楽しい毎日
Pure food li...
Psalm of The...
ばら屋さんのフラワーレシピ
hana* blog
My*Simple*Style
おうちを買おう
skippy's home
My slowlife ...
土遊布・どうゆうふう???
Eightablish
陶芸家・大江一人 『ロク...
代官山の手芸店 Merc...
おべんとう日記vol.2
いつか晴れた日に
ル・ポタジェ
Mis favoritos
カンタとハンナ
うつわノート
room 153+++
ユニオンスクエアの窯 ☆...
おかゆのきまぐれにっき
カエルのはんこ工房
Natural Life
natural life...
by the beach
vege dining ...
ブレーメン通信
ひろぽんのつぶやき
coupe-feti
JIM-NETニュース
O・ha・na・shi日...
YPSILONの台所 Ⅱ
えいえもん日記
新潟生活
粉もん☆マニア
Content S.K
糀 料 理 研 究 室 ...
アイシングクッキー&シュ...
召しませ!
『しかくいうつわ展』
ki-to-te直売所・...
おいしいおいしい うまいうまい
池田大介 器と余白

以前の記事

2016年 02月
2014年 10月
2014年 09月
more...

カテゴリ

はじめまして。
プロフィール
はむの日常
うた
手ごねパン
陶芸
手作りのもの
友部
築地・月島
作業療法
ハーブ園
忘れずにいたいこと

最新のトラックバック

料理写真教室☆大盛況!あ..
from お菓子教室&食育コミュニティ..
掲載、ありがとうございま..
from 「お散歩すとあ」店長のひとり..
写真展に行ってきました(..
from ● ほんとの「豊かな生活」を..
花緑「も」だいすきです
from 落語だいすき!
ホワイトデー
from hachilog2.0

検索

ライフログ


東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~


ベビーブック―もの、こと、おはなし


「たからもの」って何ですか


バッテリー


イントロデューシング


ブラバン!甲子園


京都のお酢屋のお酢レシピ (アスキームック)


赤毛のアンの手作り絵本〈2〉青春編

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

パン
料理・レシピ

画像一覧